今回も、池上彰氏の「池上彰のやさしい経済学」シリーズです。今回は、「池上彰のやさしい経済学2」となり、ニュース等で報道されていることが理解できる、といった内容です。
よくニュースで使われる経済に関するキーワードを、時代背景なども混じえて、分かりやすく解説しています。
例えば、インフレとは需要が多いために物価の値段が上がっていくこと、デフレとは消費されないために、物価の値段が下がっていくこと。
この意味のおさらいから説明してくれています。私みたいに、右から左へ忘れてしまう人間にとってはありがたいです。
そして、ハイパーインフレとは、第一次世界大戦でドイツとフランスが戦争の末、ドイツが負けてしまい、勝ったフランスは、ドイツから戦時賠償金を徹底的に搾り取りました。
そんなことをしたら、ドイツの経済は破綻しますよ!と、経済学者のケインズはフランスに対して助言をするのですが、フランスはそれを聞き入れずに実行してしまいました。
ドイツ政府は、経済を立て直すために、国債を大量に発行して、一般の人に売らずに中央銀行に売り、国債の分の金額のお札をどんどん刷って政府に渡して国内の支出をまかなったわけですが。
それに見合う生産は全く無い。欲しい物はあるのに、物の供給が全然足りない。
このままじゃ物価は上がっていくばかりですよね。こんな状態で、ドイツでは猛烈な勢いでインフレが起きました。
これを、「ハイパーインフレ」と言います。物価が極めて短期間に数倍、数十倍になるような激しいインフレです。
パン1個が1兆マルク‥お札の印刷が追いつかないので、100兆マルク紙幣まで作られたそうです。
そして、このハイパーインフレが原因で、第二次世界大戦が起こり、大きく軍事に力を入れたナチスのヒットラーが台頭します‥
結局のところは、ドイツがやはり負けてしまうことになるのですが、この教訓から、ヨーロッパ諸国は、ドイツに対して戦時賠償金を請求することはしませんでした。
ケインズの助言を聞き入れていれば、第二次世界大戦は起きなかったかも知れません。
あな恐ろしや、ハイパーインフレ。経済だけでなく、これだけ世界の運命が大きく左右されるとは。
戦争で、一時的に兵器の生産等で経済を立て直すことができたとしても、それはずっと続くわけではないし、むしろ信頼を作っていくとは言い難い経済のまわし方。
戦争が引き起こした経済の大混乱は、今後絶対に起こしてはならないことです。私たち庶民が政治を監視していかなければならない。よっぽど慎重に選ばないと、ですね。
また、戦後の日本で経済成長が著しい、インフレで物の値段が上がっている時は、給料は変わっていないものの、それはどうしても必要、欲しいので買ってしまいましたよね、3種の神器。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機。一台ずつでも、便利なものは揃えていきたいですよね。
給料が変わってないのに物の値段は上がっているので、実質的には給料が下がっていることになります。ですが、このように買いたい人がいるので作ってくれる人がいる=生産が上がります。
そうなると、給料は少しずつ上がっていきます。経済がまわってきているのです。この昭和30年代は、さらに給料の上がり方が大きかったのではないかと推測します。
私の子供の頃(1970〜80年代)は、父親がサラリーマンで、母親はたまにパート勤めをする、ほぼ専業主婦といった昭和の典型的な一般家庭で育ちました。
今思い出してみると、先月980円だったものが、翌月には1,000円を超えているものがあった記憶があります。景気が良かった時代とは言え、当時の若い両親は、お金のやりくりにそれなりに苦労したようでした。
インフレの状態で大変な思いをするのは、年金で生活をしている諸先輩たちです。この当時は年金の支給額が変わることなど無くて、さほど苦労は無かったのでしょうが、ここ最近は毎年支給額が減る一方な中で、インフレの波が起きたとして、物の値段が上がっていくのは、かなり大変なのではないでしょうか。
経済がまわっていくのも、良し悪しですね‥
低金利のデフレ状態が続く現在では、ほとんどそんな状態は見られません。みんなが物を買おうとしないので、売れ残った物を値札を赤くし、「値引価格」と表示して、2,000円のものが1,880円、1,780円になったりと値段を下げています。
低金利のデフレがこのまま続くとどうなるかは、今まで起こってきたことでピンとくる方もいるかと思いますが、みんなが物を買わなければ、物の価値は下がってしまいます。
10,000円のものが売れずに9,000円になってしまえば、お金の価値は上がります。
池上さんの表現では、厳密には違うけれど、分かりやすくするために言うと、お金の価値が10%上がっていると考えます。
ちょっと乱暴な言い方だけど、銀行に預けずに自宅でタンス貯金状態であっても=何にもしなくても、来年にはお金の価値が10%上がり、利子が10%つくようなもの。(!)
そうなると、企業はお金を借りて新しい事業に投資しようという気が起きなくなります。
新しい工場を建ててもその価値がデフレでどんどん下がってしまえば、投資したお金を回収するのが困難になってしまうからです。
それだったら、何もしないで現金のまま持っていた方が良い‥なんてことが、ここ最近で時々耳にしましたね。
インフレとデフレだけでもこれだけの良し悪しがあり、一番理想的なのは、物価上昇率が2%くらいが望ましいとされています。
このほかにも、「1」では取り上げられなかった円高、円安についてや、今では聞かなくなった公定歩合の話、日銀では国債を政府から直接買うことは禁止されていること、バブル期とはどんな時代で、きっかけは何だったのかとか(笑)
今の若い人たちは、物心ついた頃からデフレ状態でしたから、インフレが起きたら余計に物を買わなくなってしまいそう。
是非とも、生産量が増えて、(お給料が増えて)「あれが買える、これが手に入る!」という希望が増えていけばと思います。労働力も含めてね。
ニュースでちらほら聞く事柄について、分かりやすく丁寧に書かれています。
池上先生の略歴を見たら、ジャーナリストだったのですね。経済のスペシャリストとばかり思っていました。素晴らしいほどの勉強量と、理解力、説明の分かりやすさです!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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